難しい発声の理論を述べるのは専門家に任せるとして、長年歌を歌ってきた人間の体感で得た発声法を伝授します。

◆声帯の場所

声帯は喉の喉仏と言われる場所にあります。ここにある2枚の弁が振動して声が出ています。
声帯は筋肉で出来ているのですが、非常に繊細で痛みやすいのです。
大きい声を出そうとして喉を締めて強く声帯を擦ると声帯は炎症を起こしたり、ある一定の場所に負担をかけているとその部分にマメが出来たりタコが出来たりします。
これが声帯結節(マメ)声帯ポリープ(タコ)といいます。
これにより声帯が上手く振動出来なくなり空気が抜けて行ってしまうので、声が枯れて声が出ずらくなってしまいます。

これだけではなく、声帯の付近が腫れてしまって声帯閉鎖不全(声帯が閉まらない)状態になって声が出なくなったり、声帯全体に炎症を起こしたりその症状は様々です。

では、この声帯をどうしたら痛めないで歌えるようになるでしょう???
声帯に負担をかけずに歌えるようになるでしょう???

その答えの前に私の体験談をお話ししましょう。
私の歌手として活動し始めた時から、ずっと声枯れに悩まされていました。

とにかく、ひたすらに大きな声で歌うので常に声帯はボロボロでした。
耳鼻咽喉科に毎日通いました。
喉に吸入してもらう為です。朝は電話に出ても一言も声が出なくて切られてしまったこともありました。
それだけではなく、声域が狭くて高音も低音も出ませんでした。

なんとかデビューはしたものの、毎日続くライブやキャンペーンで常に声枯れと戦っていました。
私は特別に声帯が弱いのか・・・?人よりも細くて短いのではないか・・・?
そんな事を思って悩んだものです。
だから、声を痛めずに歌うスキルをなんとしても身に付けたかったのです。

それからは色々なボーカルレッスンに行き、発声を教えてくれる人を探しました。
本も沢山読みました。

そして、気づいたのです。
歌手として尊敬する人たちの声の響きや音域などを研究する中でだんだん体感して行った発声法が分かってきたのです。

それは、喉を意識しない!!という事でした。

そして、確信している事は、喉から声を出さない腹式呼吸を体得しての発声しか・・・、上手くなる方法はない!!!
もちろん、色々な歌手の方がいて、だからこそ音楽は面白いのですが、声を作ってる歌い方や喉だけを使っての歌い方は聞いていてすごく表現が浅く感じてしまいますし、結局、喉を痛めやすくなるのは間違いないのです。

どんなスポーツもそうですが、身体を痛めないことが何より大切ですね。

私のレッスンする発声法は喉を意識せずに声を体で支える発声法なのです。
別に特別な事ではありません。

洋楽・Kpop・ミュージカルなどは全てこの発声法です。その声の表現などは色々ですが、この基本を押さえていれば声を痛めることは格段に減って行くでしょう。
それだけではなく、ロングトーン・高音・低音・音程(ピッチ)・感情表現まで豊かに歌うことが出来るようになるのです。

それは、ただ正しい練習を繰り返すだけで身について来ます。

説明しておいて、言いますが、頭でいくら考えても発声はわかりません。練習あるのみです。
歌を歌うために動かさなくては行けない筋肉があるのです。
それを体で覚えて行く事が何より大切です。

発声のしくみ2へ続く